PROJECT 04

アセットライト化の波をつかむ
KJRM×KKRのCREカーブアウト戦略

2024年3月、ロジスティード株式会社が保有する基幹物流施設について、29物件(約1,175億円)を産業ファンド投資法人にて取得し、残りの物件をKJRMが組成した私募ファンドが取得しました。
CRE提案を通じた産業用不動産の投資運用に強みをもつKJRMと、プライベートエクイティ(PE)投資による企業価値向上に強みをもつKKRとのコラボレーションによって初の大型CREカーブアウト案件が実現。日本企業のアセットライト化の連鎖が引き起こされています。

CHAPTER 01日本企業や物流業界の変革とアセットライト化の波

2010年代以降、日本の上場企業を取り巻く環境は大きく変化しています。コーポレートガバナンス改革やPBR1倍割れ企業への東証からの要請、海外投資家を含めたアクティビスト投資家等の存在感の高まり。また、物流業界では2020年コロナ禍で物流需要が急拡大する一方で、労働力不足や2024年問題など、持続可能な成長を阻む課題の顕在化。
こうした状況のもと、企業が保有不動産を有効活用し、資産を売却して成長投資に振り向ける「アセットライト化」の波が拡大してきました。

そのような中、2023年にKKRが買収した旧株式会社日立物流、ロジスティード株式会社(以下、ロジスティード)は、非公開化後の変革に取り組むべく、資産効率・資本効率の改善、成長資金への投資を重要なテーマとして、同社のアセットライト化の検討が進められていました。

CHAPTER 02IIF×KJRMの私募ファンド機能による物件取得

ロジスティードが保有する数千億円規模の施設は全て現物不動産のため、どのように資産を流動化するか。この難題に対してKJRM内での産業ファンド投資法人(IIF)と私募ファンド機能を活用した取得検討が重ねられました。
これまで私たちがCRE提案を通じて様々な産業不動産の流動化を行ってきた実績、専門性をもった多くのメンバーの知見・スキルにより最適解を考え抜き、IIFと私募ファンドそれぞれの投資家目線にあった物件を選定。その結果、IIFと私募ファンドの両輪によって、2千億円超の資産流動化という大型のCREカーブアウト案件が実現したのです。
このエポックメーキングな案件は、その後の物流業界におけるアセットライト化を加速させることとなり、ロジスティードもまた、保有不動産の売却資金を活用して、次なる成長投資、株式会社アルプス物流(以下、アルプス物流)の買収につながる取り組みとなったのです。

IIF取得の物件群
〈IIF取得の物件群〉

CHAPTER 03CPI連動賃料というインフレ耐性のある契約形態の導入

今回の取引では、ロジスティードとの長期のセール・アンド・リースバック契約を通じ、信用力の高いテナントから長期のキャッシュフローを確保することができました。加えて、今回の取引における大きなポイントは、CPI連動賃料を織り込んだ賃貸借契約を設定した点にあります。物流施設は長期固定化された安定した賃料であることが一般的です。そのような中、将来のインフレーションや金利上昇によるコスト上昇をヘッジするべく、インフレ下においても運用物件の収益をしっかりと確保していく仕組みを取り入れる。これにより、キャッシュフローと資産価値向上に繋がる取り組みとなったのです。

CHAPTER 04連続的なCREカーブアウト案件の実現
~アルプス物流の保有不動産のアセットライト化~

今回のCREカーブアウト案件が実現したことで、ロジスティードは売却資金を活用した成長投資としてアルプス物流の買収を実施しました。そして、アルプス物流でのアセットライト化についても、2025年7月、IIFと私募ファンド機能を活用し8物件(315億円)の資産流動化が実現しました。こうした取り組みによって、私たちにとってはCPI連動賃料の導入によるインフレ耐性のあるポートフォリオを取得することができ、アルプス物流もまた売却資金を次の成長投資へつなげることができる。関係者にとってのWin-Winの関係を築き、持続的な成長にもつながっています。

アルプス物流の物件群
〈アルプス物流の物件群〉

2022年、KJRMのスポンサーはKKRとなりました。日本企業のアセットライト化ニーズに応え、KJRMのノウハウと実績にKKRの強みが加わることで、不動産面から日本の産業活動を支える新たな展開が始まる。KJRMは大きな、そして新たな飛躍の一歩を踏み出しています。