不動産からライフサイエンスを支える
KJRMの進化
2020年9月に取得した日本最大級のライフサイエンス施設「IIF湘南ヘルスイノベーションパーク」。「日本の産業活動を不動産面から支えていく」という産業ファンド投資法人の理念のもと、チャレンジを繰り返し独自のCRE提案によるアセットクラスを開拓。これにより世界にも類を見ない、唯一無二のライフサイエンス施設への進化が進んでいます。
CHAPTER 01日本最大級のライフサイエンス施設の運用開始
2011年竣工の「湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)」(通称:湘南HIP)。 ここは、かつて武田薬品工業株式会社(以下、武田薬品工業)が民間初の自社研究開発施設として利用していた湘南研究所。日本における創薬・製薬発展のため、2018年4月よりオープンイノベーション施設として外部開放されました。
延床面積は約30万㎡で東京ドーム約5個分の大きさ、5つの研究棟をつなぐブロードウェイと呼ばれる廊下は全長約400mと16両編成の新幹線が丸ごと入る長さで、日本最大級となっており、単一拠点の創薬研究施設としてもアメリカやシンガポールなど世界有数のライフサイエンスの1つに数えられます。
産業ファンド投資法人(IIF)は2020年9月及び2021年8月に武田薬品工業からのセール・アンド・リースバックによって本施設を完全所有とし、武田薬品工業と協働で運用を行いながらライフサイエンスへの知見を深めていきました。取得後から数年はコロナ禍という難しい局面ながら、「世界に開かれたライフサイエンスエコシステムの構築」というミッションのもと、独創から共創へ、湘南HIPは多くの挑戦者が集う場所へと変貌を遂げてきています。


CHAPTER 02J-REITの資産運用会社として初めてライフサイエンスの運営へ参画
2023年4月、IIF・武田薬品工業・三菱商事株式会社の共同出資により本施設の運営会社「アイパークインスティチュート株式会社(通称:iPi)」を設立。資産運用会社として、同社の運営に参画しました。これにより、不動産と創薬・製薬の知見を組み合わせた国内初の取り組みを実施し、研究開発を更に推し進めています。
2018年に外部開放された当初は入居20社200人程の規模でしたが、現在(2025年)は入居テナント120社超、イベントやマッチングサービス利用のためのメンバーシップ会員60社超、勤務者数は2,500人以上と拡大しており、製薬 / 創薬 / 次世代医療 / ヘルスサイエンス / 細胞農業研究開発支援 / 研究機器・医療機器 / AI・IoT・ロボティクスビジネスサポート / 金融・ベンチャーキャピタル行政 / 保険 / 総合商社・専門商社など、様々な分野の大手企業からスタートアップベンチャー、アカデミアなどが集まっており、進化を遂げてきています。


CHAPTER 03契約形態の変更による更なる挑戦
IIFが本物件を取得した当初より、オープンイノベーション拠点としての構想が始まっていましたが、2025年10月からは武田薬品工業とのマスターリース契約を、エンドテナントとの直接契約をiPiが担うパススルーマスターリース契約へと変更しました。
ヘルスイノベーションを実現するエコシステムの構築を目指して、ライフサイエンス業界に精通したスタッフが、施設とコミュニティの両面で、研究者のニーズに沿った施策やサービスを追求しています。
特に、コミュニティの形成においては、研究交流を促進する場をオーガナイズする一方で、入居者どうしの個別の交流から自然にコミュニティが生まれるような文化を醸成することに注力しています。その結果、各分野の専門性を活かした互助的な文化とコミュニティが醸成され、研究開発におけるコラボレーションが更に生まれることで、本施設に入居したいと考えるテナント候補が増えてきます。
分野も規模も異なる挑戦者が折り重なる“層”の厚み、大手製薬・スタートアップベンチャーの相互連携、産学連携コンソーシアム、再生医療・細胞治療の課題共有、それをIIFが不動産面と運営面で支え、不動産×オペレーション×エコシステムが三位一体として機能することで、単なる「賃貸」とは次元の違う価値創出を起こしているのです。
CHAPTER 04湘南HIPでの取り組みを日本全国、そして世界へ
IIFが本物件を取得して以降、運営会社設立、契約形態のパススルー化を行ってきましたが、次なる進化が問われるフェーズに入ってきました。
入居テナント数の拡大に伴い、既存棟だけでは需要を満たせないことから、敷地内への増築棟の開発計画、厚生労働省による創薬クラスターキャンパス事業の採択、2032年開通予定の新駅開発と湘南HIP周辺の再開発計画、iPi運営ノウハウを神戸などの関西エリアへ横展開、グローバル企業の誘致など、様々なチャレンジが始まります。

これまでの知見・ノウハウを生かし、ライフサイエンスにおける新たなチャレンジに取り組んでいく、単なる不動産運用に留まらない更なる飛躍をKJRMは続けます。